『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』以来、久しぶりに村上春樹の長編を読みました。

近年の作品は、なんか洗練されていますね。

村上作品では『ねじまき鳥』や『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『海辺のカフカ』等々が好きです。

たぶん冒険要素が強い方がいいんでしょうね。

今回も冒険はします。

前半は東北に。

これは冒険じゃなくて、旅か。

あと、かなり最後の方に、メタファーの世界に。

メタファーっていうと、わかりにくいけど、要は「穴」です。

今回もしっかり「穴」や「暗闇」がしっかり出てきます。

今回も主人公は、サラリーマンではありません。

画家です。

だいたい主人公は時間を持て余した自由業の人なんですよね。

僕が村上作品で一番好きなのは、この主人公が自由業なところです。

主人公は、自由業か、それに準ずるフリー的な、個人事業主的な人なんですよね。

その人たちの時間の使い方、仕事の仕方に一番興味を惹かれるんです。

自分が30歳のときからフリーになってから社会との距離感とか、関わり方、心の持ちようが変わってきていて、共感できる部分が増えているんだと思います。

今回で言えば、お金のために始めた肖像画家の仕事を、途中で辞めてしまい自分のための絵を描く。そして最後はまた生活のために肖像画を描く仕事に戻る、とか。

山小屋みたいなところで、ごく限られた人とだけ関わりながら創作活動をするところ、とか。

スケジュールが結構空いているところ、とか。

そういう文章を読むと、なんか勇気づけられる気がします。

ところで、まりえがクローゼットに隠れているとき、扉の前まで来たのは、誰だったのでしょうか?

メンシキさんでしょうか?

メンシキさんではないような書き方もされていましたが…。